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2月の末に私の母が95歳で天に召された。 11年と少し、秦野にあるキリスト教系のホームにお世話になり 最後までスタッフの方々による手厚い介護を受けることができ感謝している。 葬儀もホームの礼拝室を利用させていただき、母が所属していた教会の牧師に 司式をお願いし、私が奏楽を担当し、ホーム長さんはじめ、ホームの居住者や介護スタッフ 食事を作ってくださる方々、ボランティアの方々、それに私たち身内が出席して 華美を嫌った母にふさわしく簡素ながらも暖かい雰囲気のうちに見送ることができた。 母の使っていた部屋に泊めてもらい、母の衣類、その他の所持品の処理などについて 姉と相談し、所持品はすべてホームにお願いして処分することにしたけれど 母の思い出の詰まったアルバムは、主だった写真を少しはがして持ち帰ることにした。 小田急線に乗って東京の足場に戻る途中 ふと、この間NHK教育テレビ「すてきにハンドメイド」で見た「蛇腹式アルバム」が頭に浮かんだ。 番組を見たときは「なんだか面倒そうで、ピシッと作るのは私には無理だなー」 と思っていたのだけれど、「そうだ!あれを作って母の写真を貼ろう」と思い立ち 翌日帰りの新幹線に乗る前に、本屋で「すてきにハンドメイド」2月号のテキストを買い 銀座の伊東屋に寄って材料を購入した。 表紙には母から譲られた着物の一つ、母が若い頃、普段着に着ていた モスリン(メリンス)の着物の袖の部分を利用することにして、解いていると あちこち丁寧に共布で修理してあることがわかり、母が着物を扱う手つきを思い出したり アルバムを作っている間中、母のいろいろな事を思い出していた。 初めて作るので要領がわからず、ノリで紙を張り合わせて上から重石をして落ち着かせる 時間がテキストにあるより長くなってしまい、蛇腹になるはずが全部くっついてしまって それをはがすのに一苦労、少しガタガタになってしまった。 出来上がったアルバムには、母の写真の他、母手製のちぎり絵のカードなども貼ってみた。 母は上海生まれで、20歳まで上海で育った人だった。 認知症が始まってからはホームでも上海の話しかしなかったそうで 母のふるさとは日本にはなく、上海が国際都市として栄えていた頃の 1920年~1930年頃の上海だったのだろう。 思うに母は本当は日本に定着してはおらず、日本のいわゆるお母さんという雰囲気がなかった。 もしかして、これは育った環境の他、母の性格によるものだったかも知れないけれど。 私が知る母は穏やかで、控えめで、言葉が丁寧な人だったけれど 「だめな事は絶対にだめ」という人。 子供の頃よく言われたことは「人は人、自分は自分」という言葉で 多勢に流されるなということだったのだろうと思う。 認知症になっても穏やかさや丁寧さは変わりなく ホームの方々が、母の穏やかなところにほっとするような安らぎをおぼえてくださっていたらしい。 お世話くださったスタッフの方や、居住者の方々が口々にそのような感想を 姉と私に伝えてくださった。 スタッフからうかがった面白いエピソードが二つある。 食堂での食事に関してのことだけれど 母に出された食事を、「どうぞ召し上がって」と母がスタッフにすすめ その押し問答でなかなか食事を食べてもらえなかった話。 もう一つは食事の後で「いかほどでしょう」と食事の支払いをしようとする母に スタッフが気を利かせて、その時母の財布に入っているお金より (入所後数年はいつもバックを離さなかった) 少し多めの金額を言って、「今日は足りないからまた明日ね」ということで ことを収めていてくださっていたという話。 母は、その性格の裏で我慢や忍耐を続けてきたのではないだろうか・・・・・・ と思っていたけれど、認知症になって押さえつけてきた鬱屈した感情が 怒りとなって噴出するということもなく、また徘徊するということもなく 最後まで本来の穏やかな性格のままであったことは 娘としてはとてもありがたく、うれしいことだった。 母のアルバム作りをきっかけに、今度は自分の写真や家族の写真も思い切って整理して 母のものと同じようなアルバムを作ろうと思っている。
by andantin
| 2011-03-06 14:27
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Comments(8)
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at 2011-03-06 14:39
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
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andantin at 2011-03-06 15:12
:117familyさま
ブログを見てくださっている由、ありがとうございます。 南軽井沢、いいですねー。私たちは「千が滝」の入り口ですが、住んで6年も経つと、もっと南軽井沢のような明るく開けたところが良かったとか・・・・色々気が移ります。東京のお宅のバラ、すてきですねー。 今年の冬の寒さは厳しかったので、庭のバラがダメージを受けなかったか心配しています。我が家のバラは数本しかありませんが、軽井沢でも立派にたくさんのバラを育てていらっしゃる方もいます。 またその後の軽井沢のお庭の様子の報告など楽しみにしています。
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森カフェ
at 2011-03-06 23:26
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お寂しくなりましたね。
御冥福をお祈り申しあげます。 穏やかで丁寧なお母様のお人柄が偲ばれます。 お着物を利用なさった写真立て、きっと喜んでいらっしゃる事でしょう。 もう少し暖かくなりましたら又お会いしましょうね。
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andantin at 2011-03-07 11:33
:森カフェさま
なかなか会いに行けなかった母ですが、そして会っても、ずいぶん前から娘のことも忘れてしまっていましたが、いなくなってみるとやはり「もういないんだなー」と寂しい気持ちがします。 軽井沢にも来てもらいたかった・・・・と亡くなってから思いました。 また雪が降ってしまいましたね。春になったらお会いしてゆっくりお話がしたいです。
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country-mouse at 2011-03-07 15:50
お心づもりは、ずっと前からできていらしたことでしょうが、お気持ち、お察し致します。
お上品なお母様にふさわしいきれいな色のアルバムですね。機会がありましたら、ぜひ、拝見させてくださいませ。 お風邪などお召しになられませんように。お元気でお過ごしくださいね。
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andantin at 2011-03-08 14:55
:country-mouse様
コメントありがとうございます。 初めて作った蛇腹式アルバム、ところどころ不備もありますがいい記念になったと思っています。着物は何しろ70年以上前のもの、ずいぶん痛んではいますが縞模様が美しく、残りの部分で簡単なワンピースでも作ろうかと思っています。またお遊びにいらしてくださいね。
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andantin at 2011-03-08 15:03
:meikenluckyさま
コメントありがとうございます。 今年はあと1、2本バラを増やしたいと思っていますが、どういう種類にしようか・・・とカタログを見ながら迷ってしまいます。ほしいバラは沢山、でも植える場所は少しですから。 バラの時期になったらお庭を見に来てください。鍵コメでアドレスをお教えくだされば我が家の場所をお教えしますので。
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pataponm at 2011-03-10 15:52
穏やかで静かなお別れだったのですね。写真立てのセピア色の古い写真に心が惹かれます。これから季節が巡るたび、折りに触れてお母様のことを思い出されるのではないかと思います。
ご冥福をお祈りします。
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