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これはシューベルトの「春の想い Frühlingsglaube」 直訳では春の信仰という歌です。 やわらかな風が目を覚まし、夜となく昼となく、すべてのものの上を なごやかに吹き通う。 新しい香り、新しい響き! (ぼくの)弱い、あわれれな心よ、もう心配はいらない。 すべてが、すべてが、変わってゆくのだ。(吉田秀和訳) 春を歌っているにしては、どこか寂しげで孤独感も漂う感じの曲。 それもそのはず・・・シューベルトがこの曲を作曲した時から2ヵ月後に 初恋の人であるテレーゼ・グローフが結婚。 作曲家として未だ生計を立てることができないシューベルトにとっては かなわぬ夢、そのつらい思いを、すべてが新しくなる春の力を信じることによって 乗り越えようという思いが込められているような音楽。 去年の今頃は、とても春の歌など心に浮かんでこなかったけれど 今年は静かに、何か慰めの響きをもってこの曲が心に浮かんできます。 去年の3月11日から、日本中が何がしかの変革を突きつけられていることの他に 個人的にも2月、3月にはいくつかの変化を受け入れなければならないことが重なり 心がざわざわすることが続きました。 かつては青春の歓びにあふれた音楽だったものが このごろは優しくて淡くて、まるで「音」でなくて、その音の幻影のようにきこえてくるようになった。 「心配しないでもいい。すべてが、すべてがかわってゆくのだから」 にあたる部分が まるでかつて良く聴いていた歌の、懐かしい余映、残響のように聞こえてくる と「音楽の光と翳」の中で吉田秀和さんが語っているけれど いつの頃からかわたしも同じように感じるようになってきた。 数年前までは(数十年?)この音楽を 静かだが大きな喜びの予感をのせて遥かから、ものの近づく気配。その香り。 のごとく、何かうきうきするような気分を自分の心に重ねて聴いていたのだけれど。
by andantin
| 2012-03-20 12:00
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